
椿大神社
つばきおおかみのやしろ
Tsubaki-Ōkami-no-Yashiro Shrine
椿大神社に関する予備知識
椿大神社は鈴鹿山系の麓に鎮座する大きな神社です。伊勢国一宮であり、道祖神であるサルタヒコ(猿田彦大神)を祀っています。
椿大神社の所在地
椿大神社の呼称
漢字を見ると「つばきだいじんじゃ」と読んでしまいそうですが、「つばきおおかみ(の)やしろ」が正しい読み方です。地元では「つばきたいしゃ」もしくは「つばきさん」の愛称で親しまれています。
椿大神社の祭神
椿大神社主祭神 | サルタヒコ(猿田彦大神) Sarutahiko-no-Ōkami |
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椿岸神社主祭神 | アメノウズメ(天鈿女命) Ame-no-Uzume-no-mikoto |
サルタヒコは天狗のような姿をした神様で、ニニギ(瓊瓊杵尊)が天孫降臨する際に道案内をしました。なので、道開きや交通安全の神様とされることが多いです。
また、椿大神社の境内には別宮の『椿岸神社』があり、そちらはサルタヒコの妻であるアメノウズメが祀られています。
椿大神社を主観的に格付け
由緒
ただし、上記創建年は社伝によるものです。垂仁天皇は第11代天皇で、3-4世紀頃の人だろうと考えられています。垂仁天皇の皇女であるヤマトヒメ(倭姫命)の神託により創建されたことになっています。
社格
式内小社、旧県社というのは、一宮神社の中ではやや低めな社格です。伊勢神宮に忖度してのことでしょうか?
その一方で、猿田彦系神社の総本社でもあります。ただし、これには異説もあり、伊勢内宮の近くにある猿田彦神社が総本社だという説もあります。
知名度
どうしても伊勢神宮の影に隠れてしまいがちなのは否めませんが、駐車場では県外ナンバーの車も多く見られます。
アクセス
新名神高速道路のスマートICから近く、しかも大型駐車場が整備されているため、車でのアクセスは良好です。
スケール
平均的な一宮神社よりも相当広いです。体感的には伊勢の外宮と同じくらいでしょうか。
観光
登山客が多く、カフェも数軒あるので、それなりに観光地っぽさはあります。
パワー
いかにもパワスポと言えそうなスポットがありますし、鈴鹿山系の山々から大地の力を享受できそうな感じがします
椿大神社の周辺地域
合併都市鈴鹿市
サーキットで有名な鈴鹿市は昭和時代の合併により発足した市です。四日市市と津市に挟まれた工業都市であり、なおかつ古来より東海道の宿場町として発展していました。現在も2本の高速道路が通り、名古屋からも京阪神からもアクセス良好です。
もともと「鈴鹿」というのは鈴鹿山麓の周辺市町も含めた広い範囲を指す呼称です。椿大神社は鈴鹿市の中でも、鈴鹿山系の山々にほど近い、本来「鈴鹿」と呼ぶべき地域に鎮座しています。
鈴鹿PAスマートIC・鈴鹿IC
周辺地域の紹介として取り上げるのも変なのですが、高速ICからの近さというのも特筆すべき要素かと思います。前述の通り、新名神高速道路の鈴鹿PAに併設されたスマートICから参道沿いの大型駐車場まで車で5分程度です。
なお、ETC以外の場合は東名阪自動車道の鈴鹿ICが最寄です。こちらからでも所要時間はそれほど変わりません。近くに椿大神社の大鳥居があるので、大鳥居を潜りたい場合はこちらがオススメです。
椿大神社境外
鈴鹿ICから椿大神社まで続く県道560号線は実質、椿大神社の参道と言えます。車での参拝に特化した参道です。境内に近いほうから順に第1〜第3駐車場があります。通常期であれば第1駐車場にも余裕で停められると思いますが、歩く距離はそこまで変わりません。
駐車場から少しだけ坂を登ればすぐに境内入口の鳥居が見えてきます。道路はそのまま先まで続いており、入道ヶ岳(906m)への登山道へと繋がっています。そこには椿大神社の奥宮があります。
椿大神社境内
参道
初参拝時は予想以上に広くて驚きました。行く前は、伊勢は神宮があるから一之宮のほうは大したことないだろうと勝手に想像していました。
断わり乃鳥居
二ノ鳥居か三ノ鳥居かわかりませんが、『断わり乃鳥居』という名前で、注連縄が飾ってある鳥居があります。江戸時代に神戸藩(現在の鈴鹿市中心部あたり)から奉納されたものです。神戸城造成の際に当神社神域の木を伐採したところ城が一夜で消失。これを神罰と恐れた藩主によって奉納されたのだそうです。
茅の輪くぐり
初夏には拝殿前に茅の輪くぐりが設置されています。3回潜って無病息災を祈願します。1回目は左へ抜け、2回目は右へ抜け、3回目はまっすぐ拝殿へ向かいます。





本殿・拝殿
本殿と拝殿は繋がっており、神明造となっています。
主祭神であるサルタヒコ(猿田彦大神)のほか、ニニギ(瓊瓊杵尊)やサクヤヒメ(木花咲耶姫命)などの天孫系の神々が祀られています。また、サルタヒコの末裔であり、修験道の開祖とされる行満大明神も合祀されています。

椿岸神社
拝殿の右手前、帰りの方向で左側に別宮の『椿岸神社』があります。祭神はアメノウズメ(天鈿女命)です。サルタヒコの妻であり、岩戸隠れの際に踊りでアマテラスの気を引いた芸能の神様です。アニメ映画『すずめの戸締り』のヒロイン、鈴芽のモチーフとも言われていますね。
かなえ滝
美しい朱色の社殿の傍に、小さな滝があります。社殿とのコントラストも相まって、いかにもパワースポットという感じがします。





鈴松庵・松下幸之助社
椿大神社を語る上で外せないのが、鈴松庵と末社『松下幸之助社』です。松下電器(現:パナソニック)の創業者である松下幸之助(1894-1989)に関係しています。
鈴松庵
別宮椿岸神社の赤い鳥居を出て左側にある庵が鈴松庵です。松下幸之助の寄進によって建造された茶庵です。鈴鹿の鈴と松下の松に因んで命名されました。
松下幸之助社
鈴松庵の少し先に、末社の松下幸之助社があります。神格化されているだけあって、生前に相当な額を寄進していたと思われます。彼は和歌山県出身ですが、なぜかこの神社には特別な思い入れがあったようです。
社名・社格 | 松下幸之助社 Matsushita-Kōnosuke-sha | 椿大神社の境内末社 |
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祭神 | 松下幸之助命 Matsushita-Kōnosuke-no-mikoto |


行満堂神霊殿・椿自彊館
行満堂神霊殿
松下幸之助社に向かって背後にある大きな建物は行満堂神霊殿です。先述の行満大明神や七福神の寿老神(寿老人)などを祀っています。
弓道場『椿自彊館』
行満堂神霊殿の向かいに弓道場の『椿自彊館』があります。儒教の『自彊不息』が名前の由来だそうです。ここからは弓矢の練習風景だけでなく、鈴鹿市の市街地を一望できます。


五輪塔・椿延命地蔵尊


椿自彊館から境内入口方向へ戻る途中に、五輪塔と椿延命地蔵尊があります。
五輪塔は「ぐりんさん」とも呼ばれます。『本能寺の変』の翌年にあたる天正十一年(1583)、この近くにあった伊勢山本城が焼き討ちされた際の犠牲者を祀っています。
椿延命地蔵尊は難病平癒のご利益があると言われるお地蔵さんです。平安時代後期の作といわれ、全国から参拝者が訪れるそうです。
椿大神社の奥宮
入道ヶ岳(906m)の山頂付近に椿大神社の奥宮があります。参拝した際には記事を更新したいと思います。
椿大神社の御朱印
椿岸神社の御朱印もいただくことができます。
