
都農神社
Tsuno-jinja Shrine
都農神社の予備知識
都農神社は宮崎県の沿海部に鎮座する日向国一宮です。神武天皇が東征に際して、航海安全と戦勝を祈願して創建したと伝えられています。
都農神社の所在地
都農神社の別称
中世の文献には『吐乃大明神』と記されているようです。おそらく、本来の発音は「つの」ではなく「トゥノ」だったと思われます。
都農神社の祭神
主祭神 | オオナムチ(大己貴命) Ōnamuchi-no-mikoto |
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オオナムチはオオクニヌシ(大国主神)の若い頃?の名前です。日本神話の主役格であり、出雲大社の主祭神でもあります。日向国(現在の宮崎県)といえば、天孫系のイメージが強いですが、都農神社はバリバリの出雲系です。理由は不明ですが、私個人的には中世以降の後付けかなと考えています。
都農神社を主観的に格付け
由緒
社伝によれば、初代天皇である神武天皇が橿原で即位する6年前とされています。記紀の記述を額面通りに読み取れば、紀元前7世紀ということになります。
一方で、第14代仲哀天皇の皇后である神功皇后(4世紀頃?)により創建されたという説もあるようです。神功皇后が遠征の際、自らの船上に大神神社の神を勧請し、帰還後に『吐及大明神』としてそれを祀ったというものです。
社格
一宮神社としては平均的な社格です。
知名度
一宮神社としては知名度が低いほうではないでしょうか? 同じ宮崎県内でも、天岩戸神社や宮崎神宮の影に隠れてしまいがちだと思います。
アクセス
- JR『都農』駅より徒歩30分
- 東九州自動車道『都農』ICより車で10分
スケール
公園が併設されているせいか、一宮神社の中でも体感的にはかなり規模が大きい部類に入ると思います。
また、神社から3kmほど離れた場所にも鳥居跡があることから、かつては相当大きな神社だったと考えられています。
観光
宮崎県内の他の観光地に行くついでに立ち寄るのが良いと思います。
パワー
たまたま天気の良い日に参拝したせいかもしれませんが、パワーを享受できた感があります。
都農神社の周辺地域
都農町の地政学
日に向かう国の真ん中
南北に長い宮崎県の沿岸地域に位置します。県都である宮崎市と、県北部最大都市である延岡市の中間地点です。逆に言えば、どちらからも中途半端に距離があります。
あくまで想像ですが、古代の宮崎平野を地盤とする勢力にとって、北の軍事拠点のような位置付けだったのではないでしょうか。ここから黒潮に乗って水軍で四国や畿内へ向けて攻め込むことも有り得たでしょう。それが後世に神武東征神話のモデルとなったのかもしれません。
二大勢力の緩衝地帯
中世における宮崎は、大分の大友氏と鹿児島の島津氏という二大勢力の緩衝地帯でした。特にここ都農神社の近隣地域は戦国時代において、両勢力が激突した地域です。
大友宗麟が天正六年(1578)に日向国へ侵攻した際、都農神社は一度消失しました。大友宗麟はキリシタン大名ですが、故意に火を放ったのかどうかはわかりません。その直前に宇佐神宮宮司家出身の正妻と離別していますので、可能性は無くもないですね。
道の駅つの
都農神社は国道10号線沿いにあります。同じ国道の、都農神社から見て川を挟んで南側に『道の駅つの』があります。
瀧神社
都農神社から国道10号線と運動公園を挟んで山の方向へ1.5kmほど行ったところに、都農神社の境外末社である瀧神社があります。こちらは駐車場が無さそうなので要注意です。
社名 | 瀧神社 |
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社格 | 都農神社の奥宮・境外末社 |
祭神 | タカオカミ神(高龗神) |
都農神社境内
鳥居が西・東・南の3箇所にあります。
西大鳥居・駐車場
西は国道(R10)に面しているため、車で訪れる場合は西側の大鳥居から入ります。
東大鳥居・一の宮公園
東鳥居から表参道までの間は公園になっています。人も少なくてのんびりできる公園です。


南大鳥居・神門
おそらく、南鳥居から神門までのまっすぐな道が表参道に相当すると思われます。



本殿・拝殿
神門をくぐると正面に本殿と拝殿があります。建築様式は手前の拝殿が入母屋造で、奥の本殿は流造です。

摂社・末社
本殿の周りには以下の摂社と末社があります。
社名 | 素戔嗚神社 | 手摩乳・足摩乳神社 | 熊野神社 |
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配置 | 本殿裏側左手奥 | 本殿裏側右手奥 | 本殿右手(旧本殿) |
社格 | 都農神社の摂社 | 都農神社の摂社 | 都農神社の末社 |
祭神 | スサノオ(素戔嗚尊) | テナヅチ(手摩乳命) アシナヅチ(足摩乳命) | ハヤタマオ(速玉男命) コトサカノオ(事解男命) ククリヒメ(菊理比売命) |
スサノオ(素戔嗚尊)はオオクニヌシ(大国主)の祖神であり義父にあたります。テナヅチ(手摩乳命)とアシナヅチ(足摩乳命)はスサノオの妻であるクシナダヒメ(櫛名田比売命)の両親です。
また、ハヤタマオ(速玉男命)は熊野速玉大社の主祭神で、イザナギ(伊弉諾尊)がイザナギ(伊邪那美命)と決別する時に吐いた唾から生まれた神です。コトサカオ(事解男命)はハヤタマオの弟神で、唾を払った際に生まれたので、離別あるいは分別の神と言われています。ククリヒメ(菊理比売命)は諸説ありますが、黄泉の国でイザナミの世話をした女神だと解釈する説もあります。




撫で大黒・撫で兎
帰りの方向の神門両脇に、大黒像と白兎像があります。軽く撫でて福を授かりましょう。

都農神社の奥宮
都農神社から直線距離にして5kmほど山側に、奥宮の『瀧神社』があります。老人ホームの向かい側に大きな駐車場があるので、そこに停めれば良いでしょう。
間違えそうになりますが、橋を渡らずに川の東岸を歩いてください。ニノ鳥居をくぐった先に不動滝があります。いかにもパワースポットという感じがします。雨上がりのタイミングであれば水量が多くて迫力あると思います。




都農神社の御朱印
主祭神のオオクニヌシ(大国主)にちなんでウサギとネズミが描かれています。ウサギは『因幡の白兎』が有名なので察しがつきます。一方のネズミに関してですが、オオクニヌシはスサノオ(素戔嗚尊)からの試練で火攻めに遭った際、ネズミの案内で穴に逃げ込み難を逃れたと『古事記』に記されています。
