飛行神社

飛行神社

飛行神社 / ひこうじんじゃ
Hikō-jinja Shrine
八幡神が召喚した航空事業の神

飛行神社の予備知識

飛行神社は石清水八幡宮の近くに鎮座する、航空業界と縁の深い神社です。航空機開発の先駆者である二宮忠八によって、大正時代に創建されました。

飛行神社の所在地

京都府八幡市八幡土井44
44 Yawata-Doi, Yawata city, Kyoto Pref.

飛行神社の祭神

主祭神第1殿
ニギハヤヒ(饒速日命)
第2殿
航空事業先駆者&航空事故犠牲者の御霊
第3殿
薬祖神(製薬事業先駆者の御霊)

飛行神社の創建者

創建者
二宮忠八(1866-1936)
Ninomiya Chūhachi

航空機開発の第一人者

二宮忠八は日本における航空機開発先駆者の一人で、ライト兄弟とほぼ同年代です。陸軍時代に有人飛行機の開発を提案しますが却下されました。

製薬会社に入社後、自費で開発を試みますがライト兄弟に先を越されてしまい、開発を断念しました。

しかし後年になって、陸軍時代の提案資料が原理として正しいことが証明されました。近年も彼の業績が見直される傾向にあります。

飛行神社創建の経緯

航空機開発を断念した二宮忠八でしたが、航空機の波及に伴って事故が発生することに心を痛めていました。そこで彼は、犠牲者を慰霊するため、私財を投げ打って八幡町やわたちょう(現:八幡市)の自宅に神社を創建しました。

そもそも、なぜここ八幡市に自宅を購入していたかというと、彼の出身地である愛媛県八幡浜やわたはま市と地名が似ている為です。それに加え、木津川きづがわの河川敷や巨椋池おぐらいけに近いので、飛行実験に適していたなどの理由も考えられます。

また、なぜ寺院ではなく神社かというと、彼は香川県にある金刀比羅宮ことひらぐうを厚く信仰していたた為です。飛行神社創建の暁には、彼自身が初代宮司となっています。

飛行神社を主観的に格付け

由緒

★★☆☆☆
大正四年(1915)創建

現在の主な社殿は、二宮忠八の次男であり2代目宮司である二宮顕次郎によって、1989年(平成元年)に再建されました。

社格

★☆☆☆☆

大正時代以降の創建なので、特に社格は与えられていない模様。

知名度

★★☆☆☆

一般人の間ではほとんど知られていませんが、航空業界では知られています。まさに「知る人ぞ知る」存在です。

アクセス

★★★☆☆
  • 京阪電鉄『石清水八幡宮』駅→徒歩10分

スケール

★☆☆☆☆

一見、神社というより宗教施設のような佇まいです。まあ、広義では宗教施設に違いはありませんが…

観光

★★☆☆☆

風変わりな神社なので、それはそれで見応えがあります。石清水八幡宮にも近いので、ついでに立ち寄ることをお勧めします。

パワー

★★★☆☆
航空安全医薬進歩など

飛行神社の周辺地域

石清水八幡宮の近く

飛行神社を語る上で外せないのが、石清水八幡宮のすぐ近くという立地です。石清水八幡宮の一ノ鳥居から橋を渡り、5分も歩けば飛行神社に到着します。

片や平安時代、片や大正時代という、新旧のコントラストが感じられます。創建者の説明で述べた通り、この地に創建されたことは只の偶然ではありません。

飛行神社境内

初訪問時、えええーー??ここ本当に神社か(@_@)と驚いたものです。一見すると、何かの新興宗教の施設かと思ってしまいます(だが、それがいい)

手水舎

鳥居の手前に手水舎があります。普通の神社は菊の花などが浮かべてありますが、ここでは願い事が書かれたミニチュアの飛行機が浮かべてあります。

鳥居

おそらく人生で初めて、銀色の鳥居を見ました。ジュラルミン製ともステンレス製とも言われていますが、いずれにせよ、色合いから現代の航空機が連想されます。

境内展示物

戦闘機に搭載されていたエンジンや、漁港近くで引き揚げられた零戦の機首部が展示されています。本物の零戦なんて、ここ以外ではそうそう見られないです。

本殿・拝殿

ギリシャ神殿のような建物です。つくづくユニークな神社だと思います。新興宗教の施設のようで、初参拝時は本当にビビりました。

第一殿(本殿・中央)

日本神話の神であるニギハヤヒ(饒速日命)を主祭神として祀っています。なぜニギハヤヒかというと、『天磐船あまのいわふね』という飛行船に乗って天から舞い降りたとされているからです。天磐船に関しては後日、磐船神社の記事で解説できればと思います。

第二殿(祖霊社・右側)

航空事故の犠牲者、ならびに航空事業の発展に貢献した人たちの霊を祀っています。このように供養目的で作られた神社は招魂社しょうこんしゃと呼ばれます。

第三殿(薬光神社・左側)

薬光神社には薬祖神が祀られています。薬祖神というのは実在した製薬業界の偉人たちのことを指すようです。薬学社の長井長義(Nagai Nagayoshi)をはじめ、武田長兵衛(Takeda Chōbē)、田辺五兵衛(Tanabe Gohē)、塩野義三郎(Shionogi Saburō)といった大手製薬会社の創業者たちも含まれています。

飛行機と製薬とどう関係あるのか疑問に思うでしょう。これは創建者である二宮忠八が製薬会社(大日本製薬)で勤務していた為です。同年代ですし、おそらく彼らと接点があったと思われます。

二宮忠八資料館

拝殿の左手に社務所と二宮忠八資料館があります。資料館は入館料大人1人300円で、内部は撮影禁止ですが、航空ファンであれば必見です。

御朱印

神社の外観のイメージに反して、宮司さんはとても気さくな感じの方でした。インクつけすぎてもーた!とおっしゃられていましたが…

いえいえ、こういうのも御朱印集めの醍醐味だから^_^

なお、プラス100円で飛行機のスタンプも押してもらえます。

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