
大神神社
Ōmiwa-jinja Shrine
大神神社の予備知識
大神神社は愛知県一宮市に2社ある尾張国一宮の1社です。奈良県の大神神社と同じく、大物主大神を祀っています。
大神神社の所在地
大神神社の祭神
主祭神 | オオモノヌシ(大物主大神) Ōmononushi-no-Ōkami |
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大和(現在の奈良県)の大神神社と同じく、大物主を主祭神としています。出雲大社の主祭神であるオオクニヌシ(大国主)と同一神、あるいはその和魂であるとされています。
ただし、平安時代の『新撰姓氏録』という古書に異説が記されています。真清田神社の主祭神であるホアカリ(天火明命)の末裔、大美和都禰命であるという説です。人なのか神なのかよくわかりませんが、かつてこの辺りを支配した豪族、尾張一族の祖先とされています。しかし、名前からして大和の大神神社と無関係ではなさそうです。
大神神社を独断で格付け
由緒
諸説あります。
社格
平安時代の社格は高く、真清田神社と同格です。しかし近代は低めに設定されてしまいました。
知名度
真清田神社の影に隠れてしまう感は否めません。かく言う私も、一宮神社の肩書きが無ければ、ここに来ることは無かったでしょう。
アクセス
- JR尾張一宮駅または名鉄一宮駅→徒歩20分程度
- 駐車場あり
スケール
非常にこじんまりとした神社です。同じ地域に複数の一宮神社がある場合は大抵、片方が豪華で、もう片方は小振です。
観光
観光目的で来ても何もありません
パワー
大神神社の周辺地域
二社ある一宮
一宮市にはもうひとつの一宮神社、真清田神社があります。大神神社と真清田神社は、JR・名鉄一宮駅を挟んでそれぞれ反対側にあります。
古代尾張の地政学
古代において、濃尾平野の西部は大部分が海でした。津島や枇杷島といった「島」が付く地名が多いのはその為です。ここ大神神社周辺も、かつては中島郡と呼ばれ、大きな島であったことがわかります。
大神神社境外
大神神社の周りは普通の住宅街です。駐車場は本殿の裏手にあることと、周囲が住宅地であることから、前向き駐車が推奨されています。
ご覧の通り、ごく普通の神社ですが、写し方によってはそこそこ大きな神社にも見えますね。

大神神社境内
さて、境内の案内をしましょう。といっても、外観は本当に普通の神社と変わらないので、特筆すべきことが殆どないんですよね。なので、考察記事を織り交ぜながら案内します。
本殿・拝殿
鳥居をくぐれば目の前が拝殿です。改めて、小振りな一宮神社であることを実感します。
先述の通り、この辺りはかつて海に浮かぶ島でした。あくまで想像ですが、このあたりは船着場だったのではないでしょうか? もしかすると、かつての大神神社は古代尾張国における税関のような役割を果たしていたのかもしれません。


狛犬
拝殿の前に2対の狛犬が置かれています。手前の方は年季が入ってそうですね。
狛犬は右手にある口を開けているほうが阿形、左手ににある口を閉じているほうが吽形です。仏教の概念なので、お寺の門にある仁王像も同様です。


本殿・摂末社
拝殿の脇にはいくつかの摂社・末社があり、拝殿裏の本殿も見えます。大和の大神神社は御神体の三輪山がある代わりに本殿がありません。一方、こちらの大神神社は平野のど真ん中です。そのあたりは様相が全く異なりますね。
そもそも、なぜ大和と尾張に大神神社があるのでしょうか? 一般的には、大和の三輪山を信仰する大神一族が尾張を開拓したからだという説が主流です。しかし逆に、尾張の勢力が大和を支配したからだという説もあります。
私個人的には後者かなと思っています。天孫族の尾張が出雲族の大和を征服した際に、あえて出雲族の神を尊重し、天孫族の神と並列に祀ったのかもしれません。その結果、天孫系の真清田神社と出雲系の大神神社が一宮神社として並立したのではないでしょうか?


御朱印
時間帯によっては社務所に宮司さんがいない場合もあるようですが、私が訪問した際はいらっしゃいました。とてもお話好きな方で、京阪神あたりの地名や神社のこともよくご存知でした。

見開きに真清田神社の御朱印とセットにしました。古代において、大神神社は真清田神社と並ぶツイン(対)な存在でした。