石上神宮

石上神宮

石上神宮 / いそのかみじんぐう
Isonokami-Jingū Shrine
霊剣とニワトリを祀る難読古社

石上神宮の予備知識

石上神宮は全国で24社ある『神宮』の一社です。神話の剣を祭神としており、伝世品である七支刀は古代の外交政策に関する数少ない物証です。

ニワトリ神宮なんて言ったら怒られるかもしれませんが、実際に境内では多種多様なニワトリが放飼されています

石上神宮の所在地

奈良県天理市布留町384
384 Furu-chō, Tenri city, Nara Pref.

石上神宮の祭神

主祭神フツノミタマ(布都御魂大神)霊剣『布都御魂ふつのみたま』に宿る魂
フルノミタマ(布留御魂大神)霊剣『布留御魂ふるのみたま』に宿る魂
フツシミタマ(布都斯魂大神)霊剣『布都斯魂ふつしみたま』に宿る魂

フツノミタマ(布都御魂)はタケミカヅチが国譲り交渉時に携えた剣です。神武天皇(紀元前7世紀?)が東征の際、熊野くまのにてタカクラジ(高倉下命)から入手しました。

フルノミタマ(布留御魂)はニギハヤヒ(饒速日命)が天降る際に携えてきた『十種神宝とくさのかんだから』の一つです。『八握剣やつかのつるぎ』とも呼ばれます。なお、振るとザオリクの効果があるそうです(笑)

フツシミタマ(布都斯魂)はスサノオがヤマタノオロチを退治するときに用いた剣です。『天十握剣あめのとつかのつるぎ』とも呼ばれます。

石上神宮を主観的に格付け

由緒

★★★★☆

社伝によれば、第10代崇神天皇(3-4世紀?)の命令で、イカガシコオ(伊香色雄命)によって創建されたことになっています。イカガシコオは物部一族の祖先です。

また、『古事記』にも既に『石上神宮』の名が登場します。なので、相当古い神社であることは確かです。

社格

★★★★★
名神大社二十二社旧官幣大社神宮二十四社別表神社

知名度

★★★☆☆

社格の割に一般の知名度はそこまで高いとは言えないでしょう。そもそも、奈良県民以外で正しく読める人は少ないのでは?

アクセス

★★★☆☆
  • 近鉄・JR天理駅徒歩30分
  • 名阪国道(R25)『天理東』ICから5分、大型駐車場あり

スケール

★★★☆☆

観光

★★☆☆☆

過度に期待しないほうが良いです。でも、ニワトリ好きなら楽しいでしょう。

パワー

★★★☆☆
起死回生

七支刀

石上神宮の伝世品

七支刀しちしとう』は、石上神宮で明治時代まで祭祀具として代々受け継がれてきた宝剣です。また、国宝にも指定されています。 RPGとかでも登場しそうな、見た目豪華な剣です。

でも、武器としての実用性は低そうだ…

明治七年(1874)に同神宮の宮司となった人が、刀身に漢字61文字の銘文が刻まれていることを発見しました。

解読が試みられたところ、『日本書紀』に記される『七枝刀』と同一品である可能性が浮上しました。『七枝刀』は4世紀頃に百済くだら王国から贈られたものだと記されています。

空白の4世紀を埋める物証

銘文61文字のうち、いくつかは腐食のため解読が困難で、現在でも解読が試みられています。

ここは歴史専門サイトでないので詳しくは説明しませんが、解読結果次第では、日本の古代史に対する観念が大きく揺らぐ可能性があるそうです。

なにせ、日本史における4世紀は『空白の四世紀』と呼ばれています。それほどまでに歴史的物証が乏しいのです。

ただ、もし仮に61文字が全て解読できたとしても、政治的な理由やら何やらで、表沙汰にされないような気がします。

石上神宮の周辺地域

天理本通り

天理駅前から『天理本通り』という長いアーケード街があります。小都市にしては珍しく、いわゆるシャッター街ではなく、それなりに繁盛してそうに見えます。

やはり↓↓↓の恩恵だろうか。

天理教関連施設

天理市といえば、まず思い浮かぶのが天理教です。同宗教の関連施設を至る所で目にすることができます。

山辺の道

山辺の道やまのべのみち』は奈良市の春日大社から石上神宮を経由して、桜井市の大神神社までの20km弱を結ぶ散策路です。また、有史上日本最古の国道でもあります。

ザ・観光地というわけではありません。しかし手軽に散策できるので、天気が良い休日のブラ歩きにオススメです。

石上神宮境内

大鳥居

阪Qカラーの鳥居には、主祭神『布都御魂大神』の名を記した額が掲げられています。

フツノミタマ(布都御魂)は初代天皇である神武じんむ天皇が熊野の山中でタカクラジ(高倉下)から献上された霊剣です。それが第10代崇神すじん天皇の時代(3-4世紀?)になって、ここ石上神宮に奉納されたということになっています。

ニワトリーズ

境内は多種多様な鶏たちが放し飼いされています。色鮮やかですし可愛らしいものです。でも、紙袋とかを持ってるとエサをくれると思って一斉に襲いかかって来るので気をつけましょう

ニワトリは時刻を司る神鳥として古来より信仰されています。そのため、アマテラスの岩戸隠れ神話にもニワトリが登場します。

楼門

さて、ニワトリたちを尻目に、奥へと進みましょう。

すると左手に楼門があります。楼門は鎌倉時代末期(1318)に造営された重要文化財です。なお、神仏習合の時代には釣鐘が吊り下げられていたそうです。

拝殿・本殿

楼門を潜れば本殿・拝殿エリアです。ふと掲示板を見れば、ふわこういちろう氏のイラストが目に留まりました。この方の動画で日本神話や元伊勢伝承について学ばせていただきました。

おっと、授与所前に萌えキャラが!

カレンダー制作会社であるトーダンの公式萌えキャラで、こよみ花蓮かれんという名前だそうです。

禁足地

拝殿の裏手に禁足地があるそうなのですが、全然気付きませんでした。

もしかして、『七支刀』は普段、そこに収納されているとか?…そんなわけないですよね。

そんな「いかにも」な場所に置くわけないって(たぶん)

出雲建雄神社

さて、いったん楼門を出て、楼門と本殿を見下ろす小高い場所へ上がります。

ここに鎮座するのは、摂社の出雲建雄神社です。面白いことに、ここの祭神も剣です。しかも、かの有名な『草薙剣くさなぎのつるぎ』、本名『天叢雲の剣あめのむらくものつるぎ』です。RPGファンには馴染みの深い名前でしょう。

草薙剣はスサノオ(素戔嗚尊)がヤマタノオロチ(八岐大蛇)を退治したときに入手したアイテムです。なので、出雲建雄というのはスサノオのことではないでしょうか? そうでなければヤマタノオロチでしょうか? 名前は出雲の建国者ぽいので、やはりスサノオかなと思えます。

社名
出雲建雄神社
Izumo-Takeo-jinja
石上神宮の摂社
祭神
イズモタケオ(出雲建雄)
草薙剣に宿る荒御魂

鏡池

鏡池かがみいけ』は石上神宮境内にある大きな池です。ここにはワタカというコイ科の淡水魚が生息しています。なお、琵琶湖・淀川水系にしか生息していない魚です。なので、誰かがここに放流したのが繁殖したと考えられています。

ワタカはその風貌や食性から『馬魚』と呼ばれることがあります。後醍醐天皇の馬がこの池のほとりで息絶え、その馬の霊が魚に乗り移ったという伝承が残っています。

山辺の道

先ほど紹介した山辺の道です。石上神宮の境内も経由するので、道標が何箇所か立っています。

御朱印

通常Ver.は300円、七支刀Ver.は700円です。

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