出石神社

出石神社

出石神社 / いずしじんじゃ
Izushi-jinja Shrine
アメノヒボコ伝説ゆかりの地

出石神社の予備知識

出石神社は2社ある但馬国一宮のうちの1社です。但馬の開拓神を祀り、古くからこの地域で信奉されてきました。

出石神社の所在地

兵庫県豊岡市出石町宮内99
99 Miyauchi, Izushi-chō, Toyooka city, Hyōgo pref.

出石神社の祭神

主祭神
伊豆志八前大神
Izushi-Yamae-no-Ōkami
アメノヒボコ(天日槍命 / 天之日矛命)
Ame-no-Hiboko-no-mikoto

アメノヒボコは『古事記』や『日本書紀』のほか『播磨国風土記』にも登場する渡来人(渡来神)で、但馬の開拓神です。朝鮮半島、新羅しらぎ国の王子で、第11代垂仁すいにん天皇の時代に渡来したと記されています。実在したとすれば3-4世紀頃の可能性が高いですが、渡来民族の一派を1人の人間(もしくは1柱の神)として描いたものだという見解が現代では一般的です。

伊豆志八前大神いずしやまえのおおかみ』とは、アメノヒボコが日本にもたらした8種類の神宝(宝玉とか武器とか)を神格化したものです。「伊豆志」は「出石」の別表記です。

出石神社を主観的に格付け

由緒

★★★★★
創建年:不詳

但馬の住民たちがアメノヒボコの徳を讃え伊豆志八前大神を奉納したことが起源とされているので、古墳時代(4-5世紀頃?)ではないでしょうか。

社格

★★★☆☆
式内社(名神大社) / 但馬国一宮 / 旧国幣中社

ザ・一宮な社格です。

知名度

★★★☆☆

出石自体が観光地としてそこそこ有名なので、神社のほうも一宮として平均的な知名度はあるのではないでしょうか。

アクセス

★★☆☆☆
・JR豊岡駅→全但バス『出石神社前』下車→徒歩5分
・JR豊岡駅→全但バス『鳥居』下車→徒歩10分

バスの場合、出石城下町方面へのバスがわりと頻繁に(といっても日中1時間に1本程度)出ていますが、『出石神社前』バス停に立ち寄るものはごく一部なので、『鳥居』で下車するものと覚えておきましょう。車の場合は駐車場が少しわかりにくいです。

スケール

★★☆☆☆

もう一社の但馬一宮である粟鹿神社とよく似た規模感です。

観光

★★☆☆☆

出石城下町や城崎温泉のついでに立ち寄る程度に思っておくのが良いです。紫陽花の季節に行くのがオススメです。

パワー

★★★★☆
ご利益:子宝、安産(豊岡市はコウノトリの人工繁殖で有名)

境内の一部に禁足地もあって、何気にパワースポット感はあります。

出石神社の周辺地域

豊岡市の地政学

但馬の中心

豊岡市は兵庫県北部、但馬たじま地方の中枢都市です。平成時代(2005)に、温泉街として有名な城崎町きのさきちょうや、城下町である出石町いずしちょうなどを合併吸収しています。

かつて海だった豊岡盆地

豊岡盆地は豊岡市の中心部から広がる平野です。一級河川の円山川まるやまがわが流れる肥沃な土地です。

実は、古代の豊岡盆地は『黄沼前海きぬさきのうみ』という入江でした。名前からして、ほぼ沼のような感じだったのかもしれません。おそらく、『城崎きのさき』という地名の由来でしょうね。

そんな入江が平野(ていうか盆地)となったのは、おそらく人為的なものでしょう。外海(日本海)と内海(黄沼前海)を繋ぐ海峡を浚渫しゅんせつしたことによって、内海の水が外海に流れ出し、内海だった場所が肥沃な平野になったのだと思われます。

実際、この地域の古史・古伝に、アメノヒボコがその工事を主導したようなことが記されているようです。古代にそのような土木技術があったのか疑問に思われるでしょうが、似たような事例が亀岡盆地や奈良盆地でもあるので、信憑性は高いと思います。

玄武洞

玄武洞は豊岡市中心部から円山川沿いに、城崎温泉方面へ向かう途中にあります。出石神社からは車で20-30分です。駐車場が少しわかりにくいですが、川沿いの土手を降りたところです。

玄武洞のほか、青龍洞、白虎洞、朱雀洞といった、方位四神の名がつけられた洞窟が複数あり、それら一帯が玄武洞公園として整備されています(入場有料)。万人向けの観光地ではないかもしれませんが、写真で見る以上に見応えがあります。

地層自体は火山活動によるものですが、洞窟は黄沼前海の侵食によるものだとか、人為的な掘削によるものだとか、諸説あるようです。

中嶋神社

玄武洞から出石神社へ向かう途中、たまたまカーナビが変な道(といっても走りにくい道ではないです)を案内してくれたおかげて、ニッチな神社を発見することができました。『中嶋神社なかじまじんじゃ』という、製菓業界ではそこそこ有名な神社です。神社自体は大きな神社ではありませんが、大鳥居がひときわ目立ちます。

主祭神はタジマモリ(田地間守 / 多遅摩毛理)で、出石神社の主祭神であるアメノヒボコ(天日槍命)の4世孫とされています。名前はおそらく、個人名というより「但馬の領主」的な役職名でしょうね。製菓業界で有名な理由は、タジマモリがお菓子作りの神様として知られているからです。

出石城下町

出石蕎麦で有名な出石の城下町は、豊岡市中心部から見て、出石神社よりも2kmほど先にあります。

出石城は南北朝時代(14世紀)に、但馬の守護であった山名やまな氏の居城として築城され、当初は出石神社の近くにありました。戦国時代(16世紀)に現在の場所へ移築され『有子山城』ありこやまじょうと呼ばれますが、豊臣秀吉によって攻め滅ぼされました。現在の城郭と城下町は江戸時代前期(17世紀)に、有子山城跡の平地部に造成されたもので、このとき『出石城』と命名されました。

出石神社境内

参道

規模こそ大きくはないものの、一ノ鳥居からニノ鳥居、その先の神門や拝殿まで一直線に続いています。石灯篭も綺麗に並んでいるので、格式の高さが伺えます。

神域

神門

神門には平安時代の遺構と思われる旧鳥居が展示されています。昭和時代の河川改修工事で見つかったものだそうで、発見場所は先述の『鳥居』バス停付近だと思われます。

拝殿

一言で言えば「こぢんまりとした」拝殿です。小さいながらにシックだと思います。

本殿

三間社流造さんげんしゃながれづくりの建造物です。拝殿と共に市の重要文化財に指定されています。

比売神社・稲荷神社

本殿右手にある黄色と赤の祠です。黄色いほうが摂社の比売神社ひめじんじゃで、アメノヒボコの妃を祀っています。赤い方は末社の稲荷神社です。

禁足地

本殿右手に木々や花々が生い茂っていますが、その先に禁足地の看板が立っています。何人たりとも足を踏み入れてはいけないそうです。アメノヒボコの廟所でしょうかね?

出石神社の御朱印

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