須佐神社

須佐神社

須佐神社 / すさじんじゃ
Susa-jinja Shrine
古代治水事業の拠点だったかも?

須佐神社の予備知識

須佐神社は出雲市の山間部に鎮座する由緒ある神社です。この地域の開拓神であるスサノオ(須佐之男命)を祀っています。

須佐神社の所在地

島根県出雲市佐田町須佐730
730 Susa, Sada-chō, Izumo city, Shimane Pref.

須佐神社の祭神

主祭神
スサノヲ(須佐能袁命 / 須佐之男命)
Susanowo-no-mikoto

あえて「スサノオ」ではなく、歴史的仮名遣いで「スサノヲ」と表記してみました。別記事でも述べますが、「ヲ」の発音は本来「O」ではなく「Wo」です。古代は清音と濁音の区別が曖昧で、かつ現代ほど母音を付けていなかったかもしれないので、案外「Suzanow」みたいな発音だっかかもしれません。

須佐神社を主観的に格付け

由緒

★★★★☆
創建年不詳

出雲国風土記いずものくにふどき』にその名が見えますが、同一神社かどうかは不明です。中世には『須佐大宮すさのおおみや』と呼ばれ、杵築大社きづきのおおやしろ(現:出雲大社)と並ぶ重要な霊場として藩主から保護されていました。

社格

★★★☆☆
式内小社旧国幣小社

ローカルな神社にしては、まあまあの社格です。

知名度

★★★☆☆

たまたまかもしれませんが、遠方の車ナンバーを多く見かけました。古代史系Youtube動画でもたまに見かけます。スサノオにゆかりのある神社は数あれど、あからさまに「スサ」の付く場所は珍しいですからね。

アクセス

★★☆☆☆
  • JR『出雲市』駅→一畑バス須佐方面行き乗車約50分『須佐神社前』下車すぐ
  • 出雲市中心部→車で約30分(駐車場あり)

2024年8月1日より、一畑いちばたバス『須佐線』の一部が『須佐神社前』まで運行されることになりました。これにより、出雲市中心部からバスでダイレクトにアクセスできるようになりました。詳細は一畑バスさんのHPをご確認ください。

スケール

★★☆☆☆

もしかすると人が多かったせいで狭く感じたのかもしれません。

観光

★★★☆☆

神社自体は観光地とは言い難いですが、隣接地に温泉があります。また、私がたまたま参拝した日は神楽が行われており、賑わっていました。

パワー

★★★☆☆
良縁成就家内安全諸障退散

須佐神社の周辺地域

下の地図は物部神社を出発地とし、須佐神社を経由し、最終目的地を出雲大社としています。一宮巡りのついでに須佐神社に立ち寄ったり、三瓶山観光に組み込むことも可能であることが見て取れるかと思います。

三瓶山

三瓶山さんべさん(1,126m)は島根県の中央部に位置する活火山です。『国引き神話』では大山だいせん(1,729)と並んで、島根半島を繫ぎ止める杭として表現されています。

志津見ダム

志津見しつみダムは神戸川かんどがわの本流に掛かる大きなダムで、平成二十三年(2011)に完成しました。間近で見ると迫力があります。ここからもう少し下流に下れば、須佐神社の鎮座する出雲市佐田町です。

神戸川は『出雲国風土記』にも『神門川かむどがわ』としてその名が登場し、古代から近代に至るまで、幾度となく氾濫を起こしていたようです。ダムが完成する以前の2000年代にも大きな水害が発生しています。

出雲市佐田町

佐田町さだちょうは平成十七年(2005)の合併により出雲市の一部となった山間部の町で、町域の人口は約4,000人です。出雲市中心部へは車だと20-30分程度でアクセス可能です。

出雲国風土記いずものくにふどき』によれば、スサノオ(素戔嗚尊 / 須佐之男命)がヤマタノオロチ(八岐大蛇)を退治した後、この地を開拓し、土地に対して自らの名前「須佐」をとって「大須佐田」「小須佐田」と名付けたとされています。おそらく、「佐田」は「須佐田」が転訛したものと思われます。

須佐神社境外

須佐神社が鎮座する須佐地区は、神戸川とその支流である須佐川との合流地点から、須佐川に沿って2kmほど上流に遡ったあたりです。

須佐温泉

須佐神社の隣接地には須佐温泉があります。日帰り温泉もあれば温泉宿もあります。運転で疲れたら、ぜひ一服しましょう。

天照社

須佐神社の正面に鎮座する摂社で、名前の通りアマテラス(天照大神)を祀っています。なんとなく張り詰めた空気感が漂っています。

須佐神社境内

参道

先述の通り、私が参拝した日が出雲神楽の公演が行われていたため、多くの人で賑わっていました。

神門

神門には神紋の描かれた提灯が掲げられています。須佐神社の宮司家である須佐家の家紋でもあります。出雲大社や美保神社と同様、外郭は六角形です。

神楽殿

有名神社であっても神楽殿が古びていて殆ど使われていないケースが多いのですが、ここ須佐神社では出雲神楽が定期開催されるため、神楽殿も綺麗に新調されています。

最初から最後まで見ていたわけではないので演目の内容はわかりませんでしたが、おそらく主人公はスサノオです。お姉ちゃんのアマテラスを困らせたり、ヤマタノオロチを退治したり、娘婿のオオクニヌシに試練を与える話とか、だいたいそのへんです。

神域

本殿・拝殿

本殿は出雲大社と同様、大社造たいしゃづくりの建物で、島根県の重要文化財に指定されています。3つ目の写真を見ていただければわかる通り、入り口が右側にあるのが特徴です。

スサノオと須佐神社に関する考察

スサノオは実在した?

スサノオは日本神話(特に出雲神話)の神様ですが、おそらく実在の人物がモデルだと思われます。だとすれば、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)退治とは、斐伊川&神戸川の治水工事のことでしょう。古代において川は水龍や蛇に例えられていましたからね。それに、治水工事を成功させた者が領主として崇められるのは、古今東西においてよくある事例です。

スサノオが志津見ダムを見れば、きっと感激するだろうな

アンチヒーロー

スサノオは『古事記』や『日本書紀』では暴れん坊の問題児のように描かれています。その理由はおそらく、征服された側の神様をディスることで、征服者側の神様、つまりアマテラスを正当化する狙いがあったものと思われます。

しかし単なる問題児としてではなく、ヤマタノオロオチを退治したりオオクニヌシ(大国主神)を助けたりと、ヒーローとしての側面も描かれています。そのあたり、編纂社の塩梅というかバランス感覚は見事だと思います。

須佐神社は治水工事の拠点だった?

これは完全に私の主観というか妄想なのですが、ここ須佐神社のあたりは、スサノオ(のモデルとなった人物や団体)が治水事業の拠点とした場所なのかなと思います。なぜなら、ここは神戸川水系にありながら、それほど高くない峠を一つ越えれば、斐伊川水系にも出られます。神戸川だけ工事して、斐伊川に手を付けないということは考えにくいです。

スサノオが開拓した土地というのは、須佐神社の周辺や佐田町だけでなく、下流域の出雲平野も含めた広い範囲を指しているのだと思います。

須佐神社の御朱印

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