弥彦神社

弥彦神社

弥彦神社(彌彦神社)
やひこじんじゃ
Yahiko-jinja Shrine
万葉集にも詠われる大国の大社

弥彦神社の予備知識

弥彦神社は越後国一宮です。御神体である弥彦山とともに、近年ではパワースポットとしても人気を集めています。

地元では「おやひこさま」と呼ばれ、親しまれています。

弥彦神社の所在地

新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦2887-2
2887-2 Yahiko, Yahiko village, Nishi-Kambara district, Niigata Pref.

弥彦神社の祭神

主祭神であるアメノカゴヤマ(天香山命 / 天香語山命)については、アメノカグヤマ(天香山命 / 天香具山命)と考えられていますが、諸説あります。

主祭神
イヤヒコ(伊夜日子大神)
Iyahiko-no-Ōkami

尾張一族の祖神

古書によれば、アメノカゴヤマは元伊勢籠神社真清田神社の主祭神であるアメノホアカリ(天火明命)の子神または孫神とされています。同時に、神武天皇に霊剣フツノミタマ(布都御魂)を献上したタカクラジ(高倉下)と同一神、もしくはその親神とされています。

ややこしくなってしまいましたが、要するに尾張おわり国(今の名古屋あたり)を地盤とする勢力が祖先として崇めていた神です。

越後の開拓神

また、神社側の公式見解はアメノカゴヤマ(天香山命)を越後国(今の新潟県)の開拓神であるイヤヒコ神(伊夜日子大神)と同一神としています。

しかし一方で、イヤヒコは第10代崇神天皇時代の四道将軍の一人、オオヒコ(大彦命 / 意富比垝)を同一神とする説もあるようです。イヤヒコとオオヒコ、たしかに似てなくはないですね。なお、オオヒコについては敢國神社の記事もご覧ください。

弥彦神社の社名由来

先述の「イヤヒコ」が訛って「ヤヒコ」になったことは間違いないでしょう。

弥彦神社を主観的に格付け

由緒

★★★★★
創建年不詳

もし主祭神がタカクラジ(高倉下命)と同一人物だとすれば、初代天皇である神武じんむ天皇の時代ということになります。一方で、もし四道将軍のオオヒコ(大彦命)だとした場合、第10代崇神すじん天皇の時代なので3世紀か4世紀頃と考えられます。しかし、いずれにせよ神社としての創建年代は不詳です。

社格

★★★☆☆
名神大社越後国一宮旧国幣中社別表神社

一宮神社としては平均的な社格です。

知名度

★★★☆☆

新潟県内での知名度は圧倒的でしょう。最近は古代史系・都市伝説系Youtube動画でもよく見るようになりました。

アクセス

★★☆☆☆
  • JR上越新幹線燕三条駅→タクシー30分(時間重視)
  • JR弥彦線弥彦駅→徒歩15分(コスト重視)
  • 大型駐車場あり

決して山奥ではないですし、JRの駅もあります。しかし、如何せん電車が本数少ない上に接続が悪過ぎます。車でのアクセスに関しては、特別な時期でなければ問題ありません。道が広く、駐車場もいたるところに整備されています。

スケール

★★★★★

一宮神社の中でも、かなり規模の大きな神社です。背景の弥彦山と相まって、体感的なスケール感が増大します。

観光

★★★★☆

神社そのものも見応えありますが、周辺地域もそれなりに観光資源があります。

パワー

★★★☆☆
殖産興業ビジネス運恋愛運健康長寿

弥彦神社の周辺地域

大国越後

越後えちご国は現在の新潟県です。新潟県といえば、米の収穫量が日本一であったり、温泉やスキー場があることで知られています。

古代であれば米の収穫量がそのまま人口や国力に直結したでしょうから、強国であったことは間違いありません。現代でも県の人口は上位ですし、政令指定都市もあります。

弥彦神社はそんな大国の一宮神社らしく、全国の有名神社に比肩するレベルの参拝者数を誇ります。

弥彦山

弥彦山やひこやま(634m)は越後平野の端っこあたりにある、日本海に迫り出した山です。そこまで大きな山ではありませんが、海と平地に挟まれている為、存在感があります。昔は日本海から越後国に上陸するための目印とされていたことでしょう。

弥彦神社大鳥居

車かタクシーで弥彦神社へ向かう場合、否が応でも弥彦神社の大鳥居が目に入ります。おそらく弥彦線の電車からも見えるでしょう。

鳥居の高さは30.2mで、熊野本宮大社、大神神社に次ぐ全国3位です。昭和五十七年(1982)、上越新幹線開業を記念して建造されたそうです。その先にそびえ立つ弥彦山と相まって、壮観ですね。

弥彦神社境外

弥彦神社の近隣地域も見どころがたくさんあります。

JR弥彦駅〜弥彦公園

JR弥彦駅の眼前には弥彦公園が広がっています。紅葉の名所として知られ、煉瓦造りの歩行者用トンネルもあります。

弥彦温泉

弥彦神社の門前町は温泉街となっています。温泉地にある一宮神社というのは、なかなか珍しい存在だと思います。

弥彦神社境内

一ノ鳥居

さて、高さ6mの一ノ鳥居をくぐって境内に入りましょう。先ほどの大鳥居は、一ノ鳥居を模して建造されたものだそうです。

境内参道

玉の橋

一ノ鳥居をくぐると先ず橋を渡るのですが、左手にもアーチ型の橋が見えます。『玉の橋たまのはし』と呼ばれ、人間ではなく神様が渡るための橋です。

ニノ鳥居

大抵の場合、一ノ鳥居から表参道をまっすぐ進めば二ノ鳥居があります。ところが、弥彦神社の場合は宝物殿の手前で左へ曲がる必要があるので、少し戸惑います。かつては、宝物殿の場所に本殿があったそうです。

鹿苑

境内には、鹿の飼育されているエリアがあります。なぜ鹿かというと、『万葉集』において以下の詩が詠まれていることに因みます。

伊夜彦神乃布本今日良毛加鹿乃伏良武皮服着而角附奈我良

読み(通説)
「いやひこ/かみのふもとに/けふらもか/しかのふすらむ/かはごろもきて/つのつきながら」

意訳
『イヤヒコ大神(=弥彦山)の、麓に今日も、鹿が寝そべっているのだろうか…
 毛皮をまとって、ツノなんかつけちゃってさ』

少し話が逸れますが、この詩は音節が4・7・5・7・7・7で、ちょっと歯切れが悪い印象を受けます。冒頭の「イヤヒコ」を「イイヤヒコ」のように、無理やり5音節で詠んでいたのでしょうか?

古代語は現代語ほど母音を付けていなかったという説があります。もしかすると、当時は以下のように5・7・5・7・7で詠んでいたのではないかと思うのですが、どうでしょう?

Ya/hi/ko/ka/mn Fu/mo/to/keh/ra/mo/ka (Sh)ka/no/bu/su/ram
Ka/wa/go/ro/mo/gi/te Tsu/no/zu/ki/na/ga/ra

すいません、余談でした。あくまで私個人の妄想です(^^;)

日本鶏舎

弥彦神社で飼育されている動物は鹿だけではありません。立派な鶏舎があり、鶏も飼育されています。新潟県の天然記念物である『蜀鶏』とうまるという品種が育成されています。

随神門

神門の右手にはオサゲ(長気)、左手にはオサベ(長邊)という兄弟神が祀られています。主祭神イヤヒコ(伊夜日子大神)に随行した武神です。

本殿・拝殿

随神門をくぐれば、拝殿が見えてきます。本殿・拝殿・祈祷殿が一体となった三間社さんげんしゃ流造ながれづくりの大きな建造物です。

背後には御神体である弥彦山がそびえ立っています。山の裏側が海だというのが信じられないくらい、雄大な景色です。

山自体が神

ところで、『万葉集』には、弥彦神社について詠った詩がもう一首あります。ついでなので、紹介しておきます。

伊夜彦於能礼神佐備青雲乃田名引日須良霂曽保零[一云、安奈尒可武佐備]

読み(通説)
「いやひこ/おのれかむさび[あなにかむさび]/あをくもの/たなびくひすら/こさめそほふる」

意訳
『イヤヒコ(=弥彦山)は、山自体が神々しく[誠に神々しく]、青雲が、細長く連なっている日にさえ、
 小雨がしとしと降っているよ』

[一云]の部分は、「於能礼神佐備ではなく安奈尒可武佐備と書かれている文献もあります」という注釈です。しかし、5・7・5・7・7の後ろに7を付け足したものだという説もあるようです。

弥彦山

弥彦神社の一ノ鳥居を出て右手、15分程度歩けば、弥彦山ロープウェイの山麓駅があります。拝殿脇から無料送迎バスに乗れば3分で行けます。

ロープウェイに乗って5分ほどで山頂駅に着きます。山頂駅は9合目にあり、そこから15分程度歩けば、頂上付近の彌彦神社御神廟へ行くことができます。

すいません、今回は時間が無くて行けませんでした。再訪の際はもっと詳しくレポートしますね。

弥彦神社の御朱印

置き書きなので、まあ普通ですね。やはり直書きのほうが個性が出て面白いです。

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