北陸新幹線桂川駅ルートは捗るかも

北陸新幹線桂川駅ルートは捗るかも

2024年3月16日、北陸新幹線が金沢駅から敦賀駅まで開業し、これによって、東京から福井県の敦賀まで新幹線が繋がりました。しかし、肝心の敦賀から大阪までの区間に関しては詳細ルートが確定しておらず、現時点では未だ着工されていません。大まかなルートとしては小浜市と京都市内、それに松井山手駅付近を経由して新大阪に至るとされています。

そんな中、2024年7月、国土交通省によって京都市内の駅候補地3案が提示されました。私個人的には3案の中の1つ、桂川駅案が良案だと考えています。当記事では、その理由について述べていきたいと思います。

北陸新幹線ルート問題

敦賀以南のルート問題

北陸新幹線敦賀以南のルート案に関しては長年議論がおこなわれてきました。米原駅ルートや湖西線ルート、それに舞鶴ルートなど様々な案がありましたが、2016年、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて「小浜市と京都駅付近、そして松井山手駅付近を経由して新大阪駅へ至る」ルートが決定されました。

しかし、京都駅「付近」がどの範囲を指すのか不透明で、それ以前に本当にこのルートで建設可能なのかどうかを疑問視する声も多く、着地点の見えない状況が今だに続いています。そのあたりの詳細については他のサイトでもたくさん紹介されていますので、ここでは割愛します。

京都市内ルート3案

当記事で触れたいのは、2024年7月に公表された、京都市内の駅設置候補地3箇所に関する内容です。

  • 京都駅の地下を東西方向に設置
  • 京都駅の地下を南北方向に設置
  • 桂川駅付近に設置

私は最後の桂川駅案を推したいと考えており、それが当記事のテーマです。

桂川駅のメリット

さて、桂川駅付近に北陸新幹線の駅ができる場合のメリットについて語ります。

京都駅一極集中の是正

報道されている通り、京都市内はオーバーツーリズムと呼ばれるほど多くの外国人観光客が押し寄せています。そんな京都へやってくる観光客のほとんどはJR京都駅を利用して京都へ入ります。実際、京都駅へ足を運べばわかると思いますが、駅構内には大きなスーツケースを抱えた外国人観光客で埋め尽くされています。駅構内の移動だけで一仕事という感じに見受けられます。

もし桂川駅に北陸新幹線の駅ができれば、京都駅の混雑を幾分か分散できるだろうと思います。

北陸新幹線の需要なんて東海道新幹線に比べれば微々たるもんだろ

それはビジネス利用の感覚であり、観光客目線だと話は違ってきます。京都から東京へ移動する場合であっても、人気観光都市である金沢を経由する(=北陸新幹線を利用する)可能性が高いのです。

嵐山や四条河原町へも一直線

JR桂川駅は阪急洛西口駅と直線距離で約600mの距離です。もし仮に、北陸新幹線の駅が両者の中間地点にできた場合、阪急洛西口とは300m程度の距離となり、上手く通路を繋げば乗換駅になり得ます。阪急電鉄は人気観光地である嵐山や、京都随一の繁華街である四条河原町にもダイレクトにアクセスできます。

まあ、実際は限りなくJR在来線に近い場所に造られるでしょう。しかし、こういうことは近視眼的な自社の損得ではなく、マクロな視点で双方が得をするような計画を練ってほしいものです。

発展著しい桂川駅周辺エリア

JR桂川駅周辺は京都市内において最も再開発の盛んな地域です。駅前には大きなイオンモールがあり、その周辺にはマンションの建設が進んでいます。

また、少し足を伸ばせばニデックの本社や有力企業の事業所が幾つかあります。それ以外にもまだまだ企業進出が期待できる地域です。

地下深い同駅よりも2駅先の別駅

京都駅併設案のデメリット

京都駅に併設する場合、東西方向にせよ南北方向にせよ、東海道新幹線や在来線とは少し離れた場所に建造されることになります。しかも、かなり地下深い場所にホームが設置されることになります。

これはかなりのデメリットです。同駅とは名ばかりで、実際は移動にかなりの労力を費やしてしまうでしょう。東京で例えるなら、京葉線東京駅がさらに深い場所にあるようなものです。

桂川駅の利便性

桂川駅のある東海道本線(JR京都線)は他の在来線とは格が違います。アーバンネットワークの主軸とも呼べる路線で、京都駅は勿論、大阪駅や神戸方面にも乗り換えなしでアクセスできます。

また、桂川駅から京都駅までは僅か2駅で、各駅停車しか停車しない現在でも日中15分間隔で電車が来ます。もし新快速列車が停車すれば、更に利便性が上がります。

これだけの運行本数が確保されているのであれば、仮に京都駅が目的地だったとしても、地下深いホームからエレベータや階段で移動するよりも、桂川駅から乗り換えて2駅移動するほうが楽かもしれないのです。もちろん、桂川駅の新幹線のホームがどの位置に設置されるかで話は変わってくると思いますけどね。

分散はデメリットか

分散によるデメリットを指摘する意見もあって然るべきだと思います。北陸新幹線の駅を京都駅以外の場所に設置して分散してしまうことは京都にとってデメリットなのかどうか、検証してみます。

大阪の失敗例?

大阪の場合、新幹線の駅が大阪駅ではなく新大阪駅にできてしまったことは大阪にとってデメリットが大きかったと言わざるを得ません。

本来、大阪のビジネス街としての機能はJR大阪環状線よりも内側の地域や私鉄のターミナル駅周辺に集積されており、これこそが大阪という都市の最大の強みだったのです。ところが、環状線からも私鉄ターミナルからも大きく外れた辺鄙な土地に新幹線の駅ができたことで、都市機能が中途半端に分散してしまい、ビジネス都市としての大阪のアドバンテージを大きく下げてしまいました。

もっとも、新幹線駅が辺鄙な場所にできたおかげで新たな鉄道網や道路網(御堂筋線の淀川以北や新御堂筋、おおさか東線やなにわ筋線など)を建設する大義名分ができた、という見方もできます。なので、長い目で見れば新大阪に造ったことは正解なのかもしれません。けれども、少なくとも平成時代までの半世紀というスパンで見れば、失敗だったと言えるでしょう。

京都は集中より分散が理想

一方で、京都は事情が少し違います。京都の場合は集中よりも分散のほうがメリットが大きいと考えます。主な理由は以下の通りです。

  • 京都は大阪に比べてバス依存度が高い
  • 新幹線駅が中心市街になくても京都の価値は下がらない
  • 京都駅のある『洛中』エリアは建設規制が厳しい
  • とにかく色んな意味で分散が望ましい

ひとつずつ詳しく説明していきます。

バス依存度が高い

京都は大阪ほど地下鉄が網羅されていないため、市内の移動はバス依存の割合が高いです。その割には、道路網も頑強とは言い難いです。京都駅を発着するバス路線は高確率で渋滞に遭遇し、バス内もスーツケースを持った外国人観光客で混雑しています。

その一方で、私は以前に北大路バスターミナルから金閣寺へ向かうバスに乗車したことがあるのですが、渋滞も無く快適でした。並べば確実に前方座席に座れるので、途中の停留所でも余裕で降りることができます。

何が言いたいかというと、桂川駅に新たなバスターミナルを建設し、京都駅に集中するバス路線を何割かそちらに振り分ければ良いと思うのです。極論かもしれませんが、嵐山や金閣寺へアクセスする京都駅発着のバス路線を全て桂川駅発着にしてしまえば良いと思います。そうすることで、バス内の混雑や京都駅周辺の渋滞が幾分か和らぐのではないかと思います。

一昔前であれば、全て京都駅発着でないとわかりにくいという不満が出たでしょう。けれども、情報網の発達した現代であれば、外国人観光客もそれくらいの情報はリサーチできます。

分散しても京都の価値は下がらない

先ほどの大阪の例とは相反する内容になりますが、京都の場合は京都駅周辺や、いわゆる『洛中』エリアに集中せずとも、観光やビジネスにおける京都のアドバンテージは下がらないと思います。なぜなら、京都に本社を構える企業にとっては、新幹線駅や取引先との物理的距離なんてそこまで重要ではないからです。そういうのを求めるなら、最初から東京や大阪に本社を構えます。

建設規制の厳しい洛中エリア

これが一番大きな理由なのですが、京都駅を含む『洛中』エリア、つまり京都の中心市街地は建築規制が厳しいのです。また、古い町並みや埋蔵文化財が多く、広い道路や大型建造物の建設もままなりません。

なので、都市のハブとしての機能を洛中エリアに集中させることは望ましくありません。私は桂川駅周辺を『洛西』エリアのハブとして、高層建築や高規格道路を整備すべきだと考えています。

色んな意味で分散が望ましい

ところで、京都府の人口250万人のうち、半分以上の140万人が京都市に集中しています。京都市の中でも、狭い京都盆地に集中しており、かなりアンバランスです。東京も23区に過半数が集中していますが、23区の可住地面積が広いですし、そもそも絶対数が違いすぎます。

京都市内、特に『洛中』の人間は京都市以外を京都と見なしていない節(場合によっては伏見区や山科区でさえ京都だと思っていない)があります。しかし、京都がこの先も大都市として生き残るには、学研都市や舞鶴港も含めた京都府全体で街づくりをおこなう必要があります。大阪では都構想が議題に上がりましたが、京都こそ、都構想(名前は『府』のままが良いと思う)があって然るべきです。まあ、そのあたりはまた別記事にしたいと思います。

実際どうなる?

記事を書いている2024年8月時点において、詳細ルートは未だ公表されておらず、どこに駅ができるかどうかはわかりません。今後の動向に注視していきたいと思います。

南北?東西?

桂川駅のホームは南北方向か東西方向かは不明です。2016年の計画通りに松井山手や新大阪を目指すのであれば、自ずと南北方向になるかと思います。

しかし、これは私案ですが、大阪方面と京都方面はどこかで分岐し(どこで分岐するかは別記事で!)、京都方面は桂川で止めてしまっても良いと考えています。そうすれば、阪急洛西口駅とJR桂川駅の中間地点に東西方向でホームを設置することも可能です。もしかしたら、地下ではなく地上ホームも可能ではないでしょうか?

松井山手へは在来線を淀経由で延伸すれば良いと思います。そうすれば、京阪沿線や学研都市沿線から桂川・京都駅方面へのアクセスが飛躍的に向上します。

駅名は?

もし桂川駅になった場合、駅名は『京都洛西』か『京都桂川』、あるいは『新京都』あたりが良いと思います。

でも、『新京都桂川』とかはやめてほしい(>_<)

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